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リフォームで見た藁葺き屋根の家

現在、会社の近くの農家のお宅で、リフォーム工事を行なっています。
元々は藁葺き屋根だったそうですが、二十年以上前に銅板葺に変えてしまっていたので、
私も気がついていませんでした。

今回はキッチンと浴室を新しくして、オール電化にする事となりました。
今までのキッチンは農家つくりのため、昔ながらの土間にあり、料理するためには居間から、土間に下りて行なわなければならず、とても使いやすいとはいえないものでした。

昔のつくりですから、天井も低いため、まず天井を壊しました。

するとそこには、

とても立派な梁組みと、昔ながらの藁葺き屋根を見ることが出来ました。
勿論、屋根の裏側からですが。

昔は火を使ったときの煙で燻燻されたと思われる、梁と藁葺きに付いた色が独特の渋さを醸し出します。
藁葺きの厚みが200ミリを超えるので、屋根垂木だけでは荷重に耐えられないのか、棟に丸太を架けて丸太と棟を縄でくくり付けてありました。
肌寒い日だったのですが、小屋に登るとかなり温かく、藁の断熱性はかなりのものだと感じました。
壁の断熱性能はよくないので、冬は寒いのでしょうが、夏はかなりの遮熱と高い小屋裏空間のため、涼しく過ごせるのだと思います。
しかし、長年積もった埃はすごいものです。

大黒柱にはケヤキの八寸角、欠点の少ない、とても立派な材です。
差し鴨居に使っているのは、こんな色ですが桧です。
煙に燻されてよい色が付いたのでしょう。
このケヤキの大黒柱、よく見ると上のほうが曲がっているのが分かりますか?
大きな木の曲がりの部分を使い、上のほうは芯ズラシで小屋の横架材の丸太を受けています。
柱で木の曲がりを利用するのは珍しいですね。

屋根の出隅に向かって斜めに梁をかけています。
当社の隅梁工法と同じ考え方ですが、こちらは先端部の固定がありません。
当社の隅梁工法では躯体に仕口で組み上げることによって、強度を出しています。

梁を組んだ昔ながらの仕事です。
梁算段を行い (3段ではないですよ) あえて束を使わず、梁を直接何段も組む事で、揺れに強いつくりになっています。
現在の耐力壁という考え方ではなく、伝統の強度を確保する方法ですね。
立派な仕事です。

左官屋さんが仕上げ塗りのための養生を行なっています。
地味な仕事ですが、これが仕上がりを左右する大事な事なのです。

梁も汚れを落とし、クリア塗装で仕上げました。
今までは隠れていた部分でしたが、これからはインテリアの一部です。
漆喰の白と、梁のこげ茶の対比がとても美しくなると思います。