TOP >  国土交通省の呼びかけで、伝統工法の性能検証実験の意見交換会に出席して

国土交通省の呼びかけで、伝統工法の性能検証実験の意見交換会に出席して

先日、伝統的な木造軸組み住宅に関わる意見交換会に、優良工務店の会 (QBC) の代表として出席しました。

場所は東京都千代田区の都道府県会館で、出席者は、木造の伝統工法に取り組まれている様々な組織や団体の方々で、大学教授の先生方を初め、林野庁の方々、有名建築家の方々、全国中小建築工事業団体連合会等の団体等々、多方面にわたり日本の家造りをどのように進めていくかが話し合われました。

構造の捉え方や、大工技能、安全確認、指導する行政側の能力など、多くのテーマがある中で、
伝統工法による住宅を建設する際に、どのようなことが障害になっているかの意見交換を行ないました。

伝統工法と言うと、一般の住宅でよく使われる、耐力壁による耐震性はつくれない。
連綿と続いてきた大工技術を使った差し鴨居などの木組み、通し抜きに竹こまいをかいた土壁塗りなどが地震に耐える力となる。

国土交通省住宅局の依頼で、今年の11月を目処に、実際の建物の振動実験を検証する事になった。

15M×20Mの振動台にAとBの2棟の実験棟を建て、同時に加速振動を行なう予定だ。

A棟は関西仕様の伝統軸組みに主な耐力要素を土壁とする構造体。
土壁は比較的強度の高い仕様を想定する。

B棟は関東仕様で通し抜きや板壁を主な耐力とする伝統軸組み工法。
土壁はつけても補足的な位置づけとして、想定する。

3間×6間の2階建て、間取りは同じで検証し、どのような性能の違いが出るか研究調査するのが目的だ。

この木造伝統工法の建物を建てる為には大工の技術が必要なため、当社としても協力する事を約束しました。

なぜ私がこのような場に出席したのかと言いますと、このような機会を設け、伝統工法を廃れさせないようにしたいとの思いからです。
伝統工法がなくなり、それを受け継ぐものがいなくなれば、技術を必要としない組み立て式の家ばかり増えることになる。
誰が造っても、そこそこの出来栄えの家、そこに感動や愛着、造り手に対する感謝や尊敬が存在するだろうか。
それにより、現場に働く人の向上心が薄れないか、誇りが無くならないか、人材が貧しくならないかを危惧するからである。

せめて私の目の黒いうちは、当社で働く若い者を初め、建築業に携わる人たちのためにも、やりがいのある、達成感の持てる仕事を与えてやりたいと思う。