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防音室の音の質

昨年お引渡ししたお客様に、お電話したときのはなしです。

こちらのお客様にはピアノを弾くための防音室を造らせて頂きました。
実は、お恥ずかしい話ですが、この防音室について、トラブルがあったのです。

問題というのも当初の打ち合わせのなかで、すごく大きな音では使わない、という話になっており、
防音性能としてもほどほどに、ということになっておりました。

その理由として、防音室の作成は、性能を追う限り、費用は天井知らずでいくらでもお金をかけられます。
反対に言えばどの程度の防音にすれば良いか非常にあいまいだということです。
そのあたりの意思疎通が不十分だったと言えばそれまでですが、お客様にお金を出していただく以上、必要のない過剰なものをお勧めするのは不誠実だと考えているからです。

あまり大きな音でピアノを弾かない、という言葉を鵜呑みにしてしまったばかりに、実際にピアノを入れてみると以外に大きな音が外部に漏れているとのことでした。

対応手段として、外部の樹脂サッシの内側にさらに内付けサッシをいれ、2重サッシとして防音性能を高めました。
ですが、ここから問題となったのです。

2重サッシにした後も、外部に音が漏れる、というので実際に確かめに行きました。
中でピアノを弾いてもらい、音の減衰具合を確認してみたのですが、音は確実に減ってました。
こちらで感じた限りでは、それほど大きな音ではなく、問題は無かったので、大丈夫じゃないでしょうか?というところで話は終わっていたのです。

ですが、このような場合、お客様は不安になられるものです。
こちらのお客様も、土地を購入して新築されたので、ご近所の方に迷惑にならないかご心配だったのだと思います。

しばらくご連絡が途絶えていたのですが、やはり心配で、お客様自身で音響測定会社に測定を依頼したそうです。

その結果、防音室内部の騒音が90db以上のときに40db程度という結果で、非常に良い性能が出ていたそうです。
音響測定会社の人の話ではこの程度の音なら、騒音には入らない、とお話をいただいたそうで、安心したと仰っていました。

さらにその後、嬉しいお話がありました。

ピアノの先生がレッスンに訪れるそうですが、その先生が仰るには、
「防音室でのレッスンはあちこちで行なっているのですが、音が響きすぎて頭が痛くなる事がある。」
「こちらの防音室は音の響きが適度で、いい防音室ですね。」と言われたと、喜ばれていました。

確かに防音室というと、硬く重い素材で固めたものが多く有ります。
防音は遮音と吸音をあわせたものを言うのですが、遮音に比重を置きすぎると内部で音が反射し、こもると思います。
室内仕上げ面に吸音する部材や、遮音した先に吸音する部材を入れる事で、音の反響を減らし、調音できる部屋になります。

音の響きと言えば、当社でつくる家は響きが良いとよく言われます。
音が良い、といってくれる方は音楽関係の方や調律士の方なので、本物です (笑)
理由と言えば室内の構成素材が多種にわたることが上げられます。
漆喰や珪藻土、無垢の板でも硬い木、柔らかい木によって音の響きが違うのです。

防音室といっても、音を防ぐだけでは良い防音室にはならないので、注意が必要ですね。