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厳選極上材 東濃桧をたずねて その3

急峻な山道を登り、御神木の元まで進みます。
ご高齢の方もおられましたので、なかなか大変な道のりです。
山歩き用に森林管理所の方が杖を作っておいてくださいました。 (これも桧の枝を利用したものです)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杖をつきつき、上ってゆくとやっと御神木の切り株までたどり着きました。

さすがに太い大木で、大人二人が手をつないでも抱えきれないほどです。
御神木はチェーンソーなどでは切らず、昔ながらの斧で切るそうです。
3方向から3人で斧を入れて行くのですが、これが大変な重労働なのです。
と言うのも、連続で斧を入れて行き、休む事が出来ないそうです。
なので、3人を交代制で6人で切り倒して行くとの事、連続できる事が必要な儀式かと思いきや、
実際は御神木を切るときにはたくさんのお偉いさんの前で切るため、休んでいる時間がないというのが本当の理由みたいです。

ですがすぐそばにもっと大きな木の切り株がありました。

こちらの方が太いのになぜ使わなかったかたずねてみました。
こちらの木は根元から曲がっており、 (アテと呼ばれます) 良い柱にはならないため、練習で切り倒したそうです。
練習と言うのも、いまどき斧で木を切る人がいないため、本番に向けてリハーサルが必要との事です。
この写真でよく分かるのですが、斧で3人がかりで切る理由のひとつは、木の外周に3本の柱が残るように、中心を掘り抜くように切るためです。
この切り方を「三ッ緒伐り (みつおきり) 」と言います。
3人で真中を掘りぬくと、外周には3本の柱のようになって、木を支えます。
その状態で、1方を切り落とせば、木の倒れる方向がコントロールできると言う技術なのです。
ただ、こちらは練習と言う事もあって、むしれてしまったようになっています。

みんなで御神木の前の集合写真です。
御神木の切り後の3本の柱のようになっているのが、よく分かります。
やはり本番用の切り方の方が綺麗ですね。

御神木の根元で見つけた桧の赤ちゃんです。
指を差しているのが桧ですが、そのすぐ下にあるとげとげに見えるものも同じく、桧の赤ちゃんだそうで、
これが少し成長すると指先のような状態になるそうです。
ここ、東濃地区では桧のほかにも「サワラ、ネズコ、コウヤマキ、アスナロ (ヒバ) 」これに桧を加えて木曽五木と言うのですが、桧とサワラが大多数を占めています。
その桧とサワラはこの赤ちゃんとげとげ状態ではどちらの木か区別が付かないそうです。
少し成長して大人の葉っぱになると、区別が付くようになると聞きました。

山から降りる途中にとても珍しいものを見てきました。
桧とサワラは非常に近縁な種なのですが、その2種類が成長の過程で合体したものです。
樹齢は500年とも言われていますが、正確には切ってみないとわからないそうです。
誰かが「切ったらいくら位になる?」と聞いていましたが、学術的に貴重すぎて値段は付かないとのことでした。

340年ほど前の時代、この地方の木を切ると死刑に処せられたそうです。
「桧一本首一つ」そんな厳しい制度をしいてあったからこそ、残った珍しい木なのかも知れません。

でも、本当に切ったらいくらになるんだろう・・・好事家なら高値で買い取りそうだけど。