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昭和の初期に建てた蔵の移設が私の仕事始め

昨年11月に新築をお引渡ししたN様の残工事で、曳き屋 (ひきや) で蔵を移設しています。当初の予定では、道路拡幅工事のため、お住まいの建て替えと、敷地内の蔵の解体を予定していました。
いざ解体となると、昭和初期の蔵の大切さを感じ、急遽、移設をすることにしました。

私も昔の職人が造った蔵を残せることを嬉しく思います。

少し前までは、建物の「曳き屋 (ひきや) 」を仕事としている職人も結構いましたが、現在では、ほとんどの曳き屋職人が、解体業や産業廃棄物処理業に転向しています。

昔の家は、住み心地は良くないかも知れないが、意匠的にすばらしいものも多く、若い職人を育てるためなどに、うまく活用して行ければと感じます。
最近は産業廃棄物の分別もかなり厳しくなりました。
古家を解体をする事になっても、せめて環境破壊にならないようにしたいものです。

何にしても、N様の庭は広い。
元の蔵の建っている場所から、40m反対側の庭の隅に動かすのである。

まず、 電話線・電線の切り離し、つなぎ (蔵の移設の際に線が引っかかるため)
曳き屋の資材運搬 (これが大変である!鉄道用のレール・枕木、その他細かいもの)

そして、蔵の基礎をハスリ、そこへレールを差し込み井桁に組む
力の配分を考えながら、少しずつジャッキアップして、蔵全体を持ち上げる
今の場所から、移設する場所までレールを枕木の上に並べる。
高さを調節しながらレールを連結していく (これが難しい・・・!)
持ち上げた蔵を、ローラーの上に乗せ、レールの上を移動する

1月9日より資材搬入を始めて、上記の工事を静々と行う
さすがに屋根瓦もずれず、壁の漆喰も傷めずに無事終了しました。

この後、蔵の床下にもぐり、束立て、新しい基礎の補修をして、下屋根部分の土間コンクリートを打設すれば終了である。

写真上 枕木とレールを敷いたところ&お施主様

写真下 手作りの蔵の扉である

1月15日にすべての工事が完了しました。